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マップブックとデータブックを知る – その1 –

1. はじめに

トレ研では、日本国内のトレイルに対応した「データブック」と「マップブック」の制作を行っています。

マップブック(MB)はその名のごとく、地図がいくつかまとまった本、のこと。以前、地図にまつわる記事でも書きましたが、なにしろハイキングにマップは欠かせないアイテムです。

では、データブック(DB)は? 耳慣れない名前かもしれませんが、ロングディスタンスハイキングにとって超便利なツールであり、これがなければ実はMBは存在し得ないのです。

今回の記事では、ハイキングのお供MB、そして謎キャラDBについて、概要を解説します。

2. マップブックってよくある登山地図とはちがうの?

トレ研のMBは、登山地図と似ています。というのは、国土地理院が出している地形図(1/25000)をベースに作られていて、等高線が描かれた地図の上にトレイルのルートを示す線が引いてあるので、地図だけを見ると登山地図と似ているのです。

しかし、一般的な登山地図(ここでは昭文社の「山と高原地図」)と比較したときに、決定的に違う点が2つあります。それは

① ルート上/周辺の情報を「データ」として俯瞰する
② ルート上の地点間を「距離」で捉える

ことができる、ということ。ひとつずつ見ていきましょう。

2-1. ハイキングに有用な情報を俯瞰する

ハイキングを楽しむとき、その日に歩くルートはどんな環境か、道中休憩を取れそうな場所があるか、水場はあるのか…など、気になることを事前に調べる人が大半でしょう。

MBにはそれらを把握するための「データ欄」があり、各番号をマップ上で照らし合わせ、ハイキングに有用な情報を直感的に収集できるようになっています。データ欄にはランドマークや標高等が記載されていて、各地点において「見えるもの」や「できること」、そして「ルートの選択」など、ハイカーの指針として情報を活用できます。

また、通るルートが山道なのか車道なのか、そして食料補給するためのお店や入浴施設が近くにあるか、といった、ロングディスタンスハイキングの際に知っておきたい情報も、マップ上で俯瞰できるようになっています。

2-2. 地点間を距離で捉える

一般的な登山地図は「A地点からB地点までどのくらいの時間がかかるか」というスタイルで表現されていますが、トレ研のMBにはコースタイムは記載されていません。

そのかわり、各地点間、プラス、トレイルの本線ルートに対するその地点の「距離」がわかるようになっています。

例えば、東海自然歩道上の「高尾山」山頂は、トレイルの東のターミナス(起点=高尾登山電鉄の清滝駅付近)から3.7km弱の位置にあります。その先の休憩ポイント「もみじ台」までは350mほど、西へ進んだ場所にあります。

なぜ「時間」でなく「距離」で書かれているの?
例えば、C地点からD地点まで、登山地図に「1時間」と書かれているルートを行く場合、40分で歩けてしまう健脚な人もいれば、1時間20分かかる登山初心者もいます。“所要時間”は人によって違うのです。
これに対し、“距離”は誰にとっても等しく、ブレがありません。「2km」とあればその地点間は「2km」です。トレイルの環境やその日の体調によっても異なるとはいえ、自分がその距離をどれくらいの時間で歩けるのか、おおよその予測がつけば、行程を柔軟に組み立てることもできます。

では次に、MBの記載情報の元となっているDBについて紐解いていきましょう。

3. データブックとは”点を辿りて線となる”

当たり前ですが、トレイルのルート上/周辺にはたくさんの「ポイント」が存在します。

先にも書いたように、トレ研のMBは1/25000の地形図をベースに作られていて、紙面上、それらの「ポイント」を全て内包することは、どうしても難しいのです。そのため、MBの「データ欄」にはDBの情報を圧縮した内容が記載されています。

MBだけを用いてトレイルを歩くことはもちろん可能です。けれども、「ハイキングに有用な情報」がフルサイズで詰まったDBは、プランニングの精度や自由度をグッと上げてくれ旅の相棒でもあるのです。

3-1 そもそもデータとは

ちょっとここで一呼吸、Googleの検索バーに「データとは」と打って、AIさんに要約させてみましょう。

データ(Data)とは、観察や実験、測定によって得られた客観的な事実や数値を指します。そのままでは単なる記録ですが、分析して意味を持たせることで「情報」となり、ビジネスや意思決定に活用されます。

「データ」単体は情報ではない、ということですね。それでは、ハイキングに関連するデータって何があるでしょうか。

”数値”といったら、地点間の距離や所要時間、標高とかもそうですね。”客観的な事実”ならば、例えば直登の階段がウン百段続いた、とか、見晴台からあっちの山塊が見渡せた、みたいなやつですね。

3-2. 「1本の道」として歩くためのデータ

これらデータは“単なる記録”なので、ひとつひとつ見たときにわかるのはあくまでもその地点のことだけです。当たり前ですね。では、この“記録”を連続して追ってみたらどうなるでしょう。

「地点EからFまで●kmで標高差●m、自分は体力に自信がないからゆっくりめに行くとして、途中エグい階段あるっぽいけど、その先めっちゃ景色良さそうだから、頑張って登ろう。そこでお昼休憩にするかな」。

おっと、なんだか途端に見通しがきいてきました…はい、カンの良い人ならもうわかりますね。そう、“点”であるデータをつないで“線”で活用すると、計画が立てやすいのです。DBはそのためにあるツールなのです。

3-3. DBの中身

DBには、リスト化された各地点の詳細情報が記載されていて、トレイル全線をカバーします。見かたは基本的に、MBのデータ欄と同様です。

  • ランドマーク等
  • 施設等
  • 区間距離
  • WeBo (West Bound=西向きに歩く場合: 東京・高尾からの距離)
  • EaBo (East Bound=東向きに歩く場合: 大阪・箕面からの距離)
  • 標高
  • MBの対応ページ

これらのデータを連続して追っていき、自分が歩こうとしている区間を「線」で捉えてみると、どうでしょう。

どんな装備が必要か、担ぐ食料や水はどれぐらいが適量か、宿泊できそうな場所は…

ハイカー個人の経験値にもよりますが、MBと併用することで、きっと徐々にハイキングの具体的なイメージが湧いてくると思います。

4. データはどうやって集められるのか

DBに記載されているデータは、主にトレ研調査員の実踏による、現地調査で収集されたものです。例えば、東海自然歩道の場合は全線で約1250kmほど(一部通行不可区間を除く)を、実際に人がの足で歩き、ひとつひとつ見ていきました。

調査員は全員が長距離ハイカーでもあるため、「歩くために必要な/知っておくとより良い」という、ハイカーのリアルな視点から、トレイルとその周辺の状況/環境を確認します。そして、それがハイキングにとって有用な情報かどうか、精査しながらデータ取りしていくのです。

そのあたりの詳しい内容は、次回の記事でご紹介します。

トレ研制作のMB・DBのご購入はこちらから → https://torekenbooks.jp/

【関連コンテンツ】
トレ研ポッドキャスト
「#030 マップブック・データブックを語ろう。地図より先に、データブックがある」

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