東海自然歩道 情報発信

Tokai Shizen Hodo Information

2024年9月26日更新

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はじめに
at first

このページは、独立行政法人環境再生保全機構の地球環境基金の助成を受け、当研究所が2023年より調査研究活動を開始している「東海自然歩道」に関する情報を発信するページです。自らもハイカーとして、東海自然歩道を歩きたい。ハイカーの歩きたいという要求に応えたいという思いから始まったプロジェクトです。
2023年度 報告書(リンク先に移動します)

東海自然歩道の英語表記については、公式なものはありません。当研究所では、直訳の英語では日本人が聞いた時に馴染みがなく、相互理解に繋がらないと考え、Tokai Shizen Hodo と表記することにしました。



長く一本に繋がる道として、長く歩く旅ができるようにすること

これは調査にあたり、ロングトレイルを歩くハイカーやトレイル運営に関わる者たちの集団である私たちの思いであり、大きな指針の一つでした。そしてもう一つが、



50年前に作られた道が現代のハイカーにとっても魅力があるものと言えるのか



という考え方でした。これは過去に作られてきた長距離自然歩道全体に対しても言えることだと思います。もし違うのであれば、当研究所として、別の道筋を示すことも、私たちの使命ではないのかと考えています。
このような指針をもって、現在の本線の実地踏査を行い、全体を通した道の状態を調べました。工事や崩落等の理由により本線が通れない場合は、設定された迂回路があればそれを歩きました。迂回路の設定がない場合は自分たちで道を選んで歩きました。その他ハイカーが計画を立てて歩くために有益な情報等を調査しました。
また調査員には、アメリカのロングトレイルを経験したハイカーたちの力を借りて行いました。トレイル研究家の勝俣隆。信越トレイルクラブの鈴木栄治。写真家の中島悠二。そして、ハイカーを牽引し続けるハイカーズデポの土屋智哉。弊社からは、調査員として長谷川晋。トリプルクラウナーの丹生茂義。バックアップはみちのくトレイルクラブの事務局長も兼務する相澤久美。このような今まさに日本のハイキングカルチャーの真っ只中にいる皆の力によって実施されました。
この調査を持って、トレイルブレイズハイキング研究所として、



東海自然歩道は現代のハイカーを満足させる長く歩く道でありえる



そのように考えています。

この調査した情報は、ハイカー等利用者のみなさんが計画を立て、長く歩く旅を東海自然歩道で楽しんでいただけるように今後順次整理して発信していきたいと考えています。 現在ここでは、『東海自然歩道 2023トレ研調査GPSルートデータ(GPXファイル)』のダウンロードが可能です。(*アンケート及びクイズへの返答が必要です)

東海自然歩道とは
about Tokai Shizen Hodo

日本のナショナル・トレイルと言える東海自然歩道(Tokai Shizen Hodo)の構想は、1968年にアメリカのアパラチアン・トレイルの視察がきっかけとなり、環境省 (当時 厚労省)の大井道雄氏を中心としてスタートしました。「人間性の回復」を謳(うた)ったこの取り組みは当時大きな話題を呼びました。そして1974 年に長距離自然歩道の第一号として開通しました。本線及び支線の総延長は1,343km(平成2年時点まで)。東の起点 東京都の高尾山を出発し、神奈川県、山梨県、静岡県、愛知県、岐阜県、三重県、奈良県、滋賀県、京都府を通り、西の起点 大阪府の箕面までの本線約1,200km(トレ研調査に基づき)の道となります。関係自治体の数は、11都府県60市町村(2023年トレ研調べ)となります。また40年以上の歴史を持つ「東海自然歩道連絡協会」は自治体及び沿線の観光や交通事業者等で構成されています。

東海自然歩道の開通に続き、九州自然歩道、四国自然歩道、近畿自然歩道など順次計画され開通しました。2019年に全線開通をした、みちのく潮風トレイル(正式名:東北太平洋岸自然歩道)は、一番新しい長距離自然歩道です。

現在全国には10本・約28,000kmの長距離自然歩道が存在していますが、そのほとんどで管理は継続されていますが、運営面ではハイカーが求めるサービスを提供できていない等課題があります。一方で地球環境の変化・危機的状況なども踏まえ、今、自然環境への理解を深める教育の場としても、世界中でロングトレイルは注目されています。

2024年に50周年を迎えた日本のナショナル・トレイル第一号 東海自然歩道は、多くのハイカーを魅了する可能性を持つ、長く歩く旅の道だと考えています。

歩くうえで知っておいて欲しいこと
Things to know before your hike

トレイルを歩く上で、私たちは知っておきたいことがあります。山の中を通るトレイルは、人の領域ではありません。野生生物が暮らす場所です。森の中と思っていても人里近いこともあります。長い道だからこそ人の営みの中を通ることも多いです。道を歩く者としての自覚と覚悟をもち、作法を大切にしたいと考えています。

  1. 計画と準備 Plan and Prepare
    長く歩く旅はここから始まります。長期に対して計画準備とともに、短期の計画準備をつどおこなうこと。あらかじめの心構えが大切です。
  2. 道を守る Protect our trail
    歩道(トレイル)以外を歩くのを控え、周辺の自然や環境への影響を考慮しましょう。
  3. 地域の営みへの配慮 Be kind to locals
    地域の営みとは、人を取り巻く自然環境全てのことです。歩道(トレイル)が通る自然の中には野生の動植物が住み、ありのままの人の生活があります。「お邪魔させてもらっている」ことを意識しましょう。
  4. 影響の少ない土地を選ぶ Choose low-impact land
    休憩や野営する時には地面への影響を減らすよう心がけましょう。キャンプ地が見つからない場合は、地域の人たちに聞いてみる等、お互いに気持ちよく過ごせるように配慮しましょう。
  5. ゴミは全て持ち帰る Take all trash with you
    持ち込んだものは残さないようにしましょう。景観保全はもちろん、野生生物たちへの影響も大きいです。いつかは巡り人間の元に返ってきます。
  6. 排泄は最低限 Minimize human waste
    トイレの利用を計画しましょう。野外で排泄をする場合は、水場からできるだけ離れ汚染を予防しましょう。糞は穴を掘り、微生物が活発で分解が進みやすい土中に埋めましょう。
  7. 火の扱いは細心の注意 Be very careful with fire
    火器の使用時は注意を怠らないこと。想像しないことが起きるものです。非常事態以外は、焚き火は指定された場所で行うこと。枝や木は人の力だけで折れる枯れたものや拾えるものだけにします。
  8. 不測の事態に慌てない Don’t panic during the unexpected happens
    今はいつどこで天災等が起きてもおかしくありません。対処について日頃から学び、心の準備をしましょう。津波が来たら垂直避難。熊や猪が出ても大きな音を出すなど威嚇は避けましょう。
     ◆ 山岳地域での遭難・事件や事故は 警察 110番
     ◆ 怪我や急病などの救急は     消防 119番

調査ルートデータの注意点
Notes on survey route data

ここでダウンロードできるのは東海自然歩道をトレ研が2023年に全線調査した際に辿った、トラッキングルートデータです。公式な情報を参考にして計画を立てましたが、踏査では現地にある道標の示す向きを優先し、本線とされている道筋を歩きました。自治体の出している情報を調べ、迂回路が指定されているところは迂回路を歩きました。迂回路の設定が間に合っていない、またはない箇所については、独自ルートを歩きました。それにより、一本の長く歩く道筋として繋げることができています。ずれているところについては、環境省発出データを参考にし、各自で判断することをお願いします。もしその自信や覚悟を持てない方は、このデータを使用しないでください。また、GPSの精度は向上していますが、システム上完璧に位置を示してくれるものではありません。電波状況によってはずれることもありますので、自分が使う機械やシステムも良く知ってご利用ください。
*2024年9月26日:調査ルートデータver2公開

  • トレ研の調査データです。道標を辿って本線と思われる道筋を歩いた
  • 迂回路が指定されているところは迂回路を。迂回路のないところは独自ルート
  • 基本的に、一本に繋がる長く歩く旅の道として歩ける(2023年調査時点)
  • 環境省ルートデータと違いについては、各自の経験等をもって判断するもの
  • GPSデータ自体は、どうしてもずれがあることを理解する

道は地球そのものです。生き物のように絶えず姿を変えていくものです。東海自然歩道に関する最新の通行止め、迂回路等についての情報については、沿線各都府県または自治体のホームページまたはお問合せをして確認してください。2024年7月時点では、情報の受発信は一元化されていません。
東海自然歩道連絡協会と11都府県に関するホームページの情報入手先を一覧化したシートを以下リンクよりご覧いただけます。
東海自然歩道情報入手先まとめシート
各自治体もそれぞれにホームページ等での情報発信をしています。必要に応じて調べてみてください。「東海自然歩道 〇〇村(または市町)」と検索すると調べやすいです。

GPSルートデータダウンロードのための
アンケート&クイズ
Survey & Quiz of GPS route data for download

こちらから質問とクイズにお答えください。当研究所の思いにご賛同いただける方はダウンロードできます。
*2024年9月26日:調査ルートデータver2公開

追加ルート情報
Additional Route Info

2023年調査以降に提供または補足調査等で得られた情報を以下に追記します。2023年調査ルートデータと合わせての活用を推奨します。

  • 2024年7月の情報
    静岡県浜松市天竜区戸倉龍山町にて迂回路が設定されていましたが、若干のルート迂回のみでほぼ本線を歩けるようになりました。通行止め解除となった部分と変更箇所を合わせたGPSルートデータをダウンロードしていただけます。現場での状況についてはご自分の判断でご通行ください。(通行可能となったルートのGPSデータ)情報提供してくださった、浜松市天竜区役所まちづくり推進課様、ありがとうございます。
  • 2024年9月の情報
    2024年9月25日までに公開していたトレ研調査ルートデータの「四谷の千枚田(愛知県新城市四谷)」部分を修正し、9月26日からは「tsh_survey23_tbhi_ver2.gpx」に変更しています。2024年9月25日以前にダウンロードした方は、YotsuyaSenmaida_survey2023.gpx、を追加ダウンロードをして該当箇所の通行の際にご利用ください。